空海が弘仁10年(819)に開創されたものです。本尊の石造地蔵菩薩像は種々の苦しみを抜き取ってくれるため、「苦抜地蔵」と呼ばれて厚い信仰を集めていましたが、いつしか「釘抜地蔵」の名で知られるようになりました。
本尊を安置する地蔵堂の周りに、釘抜きと8寸釘を描いた絵馬が溢れるように掲げられています。いつ行っても香煙の絶えない庶民のお寺です。
京都で有数の大商人であった紀の国屋道林という人が40才の時、何事もないのに急に両手が痛み、苦しんでいた時に当寺の御地蔵様の噂を聞き、願をかけて祈りました。すると夢の中に地蔵尊が現われ、次のように告げました。「汝この度の痛みは常の病にあらず。前世に人を怨み、仮の人形を造り、その両手に8寸の釘を打ち呪いたることあり。その罪かえりし、汝が身にその苦しみを受く、汝、幸に吾に残報を祈る。故に吾神力をもって、かの昔の怨み釘を抜き取れり。これを見よ」と2本の釘を示したとのこと。夢から覚めると両手の痛みはたちどころに治り、急ぎ当寺に駆けつけてみると不思議な事に尊像の御前に朱に染まった2本の8寸釘があり、驚くばかり。道林はそれより100日間参拝し、その恩の万分の一にもと奉謝したと伝えられています。
◇地蔵しるこ接待◇
御地蔵様の御縁日にあたる毎月24日の午後1時から3時、招福・無病息災のお地蔵様のおしるこが振舞われます。
(取材日:1995年)
釘抜さん
地蔵堂前にある大きな釘抜きです。
(取材日:1995年)
絵馬
地蔵堂の四方の壁には釘抜きと8寸釘を描いた絵馬がたくさん掲げられています。
(取材日:1995年)