上賀茂神社の境外摂社で古くは恩多社と呼ばれていた大田神社は、天鈿女命(あめのうずめのみこと)と猿田彦命(さるたひこのみこと)を祀っており、歴史は上賀茂神社にひけをとらないくらいに古いものです。
境内は鬱蒼とした深い緑に包まれていてその静けさの中に朱塗りの社殿が立っています。また、周辺は平安時代からカキツバタの群生地として有名で、参道東にある大田ノ沢では毎年5月中旬頃に国の天然記念物に指定されているカキツバタが濃い紫色の高貴な花を咲かせます。その美しさは、歌人・藤原俊成が「神山や 大田の沢の カキツバタ ふかきたのみは 色に見ゆらむ」と詠んだほどです。
(取材日:1995年)